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チェーンソーの安全研修会受講報告

受講日:平成28年9月3日(土)~4日(日)
受講者:計8名森林づくり伊豆の会:内田秀文、渡邉廣太
       新潟県内1名、浜松市3名(女性1名)静岡市2名)
講師:S-GIT石垣正喜さん、米津要さん、久米歩さん、他

講習風景

会場及び研修内容
 静岡市清水区大平の中山間地、創建が西暦858年(1150年前)の鎮札神社境内でチェーンソーワークの基礎、
 目立て、チェーンソーワークのフォーム、ロープワーク。中山間地に拓かれたお茶畑の中に、建てられたS-GIT宿舎での
 座学と「楽しかった懇親会」翌日は、車で約5分の作業現場で伐木訓練を体験。
 参考図書「伐木造材のチェーンソーワーク」
 (発行:全国林業普及協会、著者:石垣正樹、米津要)を読み返して、受講内容を以下に記した。
9月3日(土)9:00鎮札神社境内で受付
 1.オリエンテーション、チェーンソーワークのまえに
  (1)チェーンソーの構造
  (2)チェーンソーの始業点検、作動:燃料とチェーンオイルの量はオイル満タン、燃料8割にすることにより
        オイルが切れる前に  燃料が切れてエンジンが止まりチェーンの焼き付きを防げる。ボルトの弛み、
        チェーンの張り具合、オイルの吐出量、等々。
 2.目立て
  (1)目立ての基本姿勢:ヤスリ、手、腕、肘が水平で一直線になるようにする。
  (2)ヤスリの枝と握り方: 目立て角度に注意して一番短いカッターを基準に始める。
   (3)目立ての症例と対策
     (イ)フック:上刃が出すぎている。良く研げている。食い込みすぎてエンジン等の負担が大きい。
     (ロ) フックの原因:ヤスリを持っている手元が水平より上にある。
     (ハ) フックの修正:ヤスリの手元を水平より下げて上向きに数回研いでから、横刃の状態を確認して水平に戻し研ぎ直す。
     (二)バックスロープ:適正に研いでいても起こりやすい症状。刃先が後方に傾斜している。
     (ホ)バックスロープの原因:フックと全く反対の研ぎ方。手元を水平より下げて研いでいる。
     (へ)修正:手元を水平より上方に上げて下方に研ぐ。特に横刃の状態を確認しながら行い、
         目立て角度が80°~85°になったら水平に戻して研ぐ。  
     (ト)デブスの調整:カッター先端の高さを基準に、ゲージを使用して突起の方を平ヤスリで研ぎ調整。
         さらにチェーン進行方向のデブスゲージ先端に平ヤスリで丸みを付ける。(面取りをする)
4.チェーンソーエンジンの始動
(1)地面に足で固定して始動:チェーンが障害物に接触しない場所で、前ハンドルを左手でしっかり握り上から押さえて
     後部ハンドルの下部を右足で確実に踏み固定して始動。
(2)足に挟んで固定して始動:前ハンドルのカーブ付近をしっかり握り、後部ハンドルを大腿部で挟みチェーンソーを
     右に傾けるようにしてホールドして始動。
5.チェーンソー操作の基本姿勢
(1)立ち姿勢:チェーンソーが身体の右側、ほぼ腰骨近辺に後部ハンドル、右足が軸足、左足は前方に踏み出した形になる。
     右目にはガイドバー左側面が見える状態が重要。万が一大きくチェーンソーがキックバックした時でも顔正面に
     当たることがない。
(2)中腰での基本姿勢:折り曲げた左膝付近で左腕を支え、右腕は右大腿部に肘、膝近くに手首の後ろが付くように、
     チェーンソーを確実にホールド。腕を両足(膝)に付けて支えることで、腰にかかる負担も軽減する。
(3)膝を着く基本姿勢:脇を締めて右腕を右腰骨に付けた「立ち姿勢」の形になり、右腕は中腰の時と同様にする。
     腰への負担・上体の姿勢・チェーンソーの保持等の面で、中腰姿勢よりもの姿勢。
6.伐木作業でよく使うロープワーク(安全確保のためのロープ使用)
(1)舫い結び:船をつなぎ留めるときに使用する結び方。一定の長さを環にして結んだ後ロープに力が掛かっても
     その環が締まらない。締まっては都合の悪い時に便利。
(2)引き解き結び:ロープを引くと幹を締めるように環が小さくなり、
     立ち木に掛けて対象木を引くのにシンプルで使いやすい結び方。
(3)梃子結び:ロープを木に巻き付け、後に回したロープを左手前に出し、力が掛かって引かれるロープを下側から
     上側へ越し、木の後ろを回して、右側の環に引かれるロープをもう一度上側から越し、下側から端を差し込んで
     引き締める。シンプルで確実な固定ができる。
(4)巻結び:ブースタースナッチを留める結び方。2個のスナッチ(滑車)を使って3倍の力で対象木を引くことができる。
7.座学:林業・木材製造労働災害防止規定、関係法令等(平成27年10月25日適用、抜粋)
(1)チェーンソーを用いた伐倒作業での立ち入り禁止区域の拡大従来、
     伐倒木の樹高の1.5倍としていたものを樹高の2倍以上に拡大した。
(2)チェーンソー防護着の着用を義務化(従来は努力義務)
(3)チェーンソーによる振動障害及びその予防に関する知識:使用するチェーンソーの「周波数補正振動加速度実効値の
    3軸合成値」が把握できないものは、類似のチェーンソーの「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」
    aを参考に振動曝露限界時間を算出し、これが2時間を超える場合には、1日の振動曝露時間を2時間以下の
    できる限り短時間とすること。1連続の振動曝露時間は、10分以内とすること。
    連続長時間の作業には注意が必要。
    *振動曝露限界時間、日振動曝露量の計算式は「安全衛生特別教 育規程」チェーンソー取扱い作業指針の項参照。
9月4日(日)車で約5分の作業現場で実技訓練 
伐木訓練
8.斜面における伐倒方向とその作業性:(1)~(5)の番号は、立ち木の諸条件により、
   追い口切り、追いヅル切り等自由に使いこなす作業者から見た時の伐木の難易度を示す。
(1)下方伐採:重力に最も逆らわない方向。ツルの強度が左右同一とみなせるものが多い。ツルの幅を左右同一にできる。
     追いヅル切りを行えば、作業者にとって労力、安全性の面で最も行いやすい。皆伐のように障害物の無い状態では、
     倒れるときの速度が最も大きく伐倒木の折れ・ヒビ等、材の損傷が起きやすくなる。材として利用の時は不適。
     捨て切り間伐のとき、下方が開いていれば、効率的な方向。
(2)斜め下方伐採:ほぼ下方伐採に準ずるが、重心に片寄がある。山側のツルの幅を厚く、強度を強くする必要があるが、
     労力、安全性の面でも(1)の下方伐採に準ずる。
(3)上方伐採:切り方は、ほぼ上方伐採に準ずるが、重心に片寄りがあり、その面では上方伐採よりツル造りに難しさがある。
     クサビを打つ労力は上方伐採より小さくなる。
(4)上方伐採:全くの起こし木で、重力に最も逆らった切り方。クサビを打つ労力が最も大きく、その面で大変。
     ツルの強度は左右同一とみなせる。ツルの幅は左右同一にできる。起こし木であることからツルの幅を厚くして、
     クサビを打つことで強度を確かめやすく徐々に切り進めることができる。伐木の基本を最も体現している。
(5)横伐採:谷川に枝葉が多く、重心が立木の外側(谷側)にあるものが多い。また年輪幅も山側、谷側で違っている
     ものも多い。従って山側、谷側のツル強度の判断が最も難しく、山勘になりやすい面がある。この様なことから、
     的確な判断が要求される伐木において最も難しい方向。枝払いの時、最も転がりやすい方向で事故も起きやすい。
9.伐採前の準備作業:指差し安全確認の手順・合図
(1)上方よし:枝がらみ及び蔓類がある場合、隣接木を巻き込んでいないかどうか、対象木上方、隣接木上方からの
     落下物の有無の再確です。これはなによりも作業者本人の安全確保にあります。また、上方からの物に備えると共に、
     作業者にとって脅威になるのは、伐倒した木の衝撃により周囲にあるものが飛来してくることです。
(2)周囲よし:自らの防御と同時に予定伐倒方向以外に倒れる可能性に備えて(横方向に倒れる可能性が特に高い)、
     伐倒木に2倍の周囲360°内に不用意に他者が入っていないか、他社への備えをすること。
(3)前方よし:伐倒予定方向そのもので、他者が入っていたら最も危険な場所です。前方が伐倒木の2倍以上見通せる
     場所にあれば、作業者の位置から確認できますが、伐倒木が届く範囲に窪地や段差がある場合は、
     前方を見通せる場所にいる人に遠くから確認してもらうなり、作業者が確認しに行く必要があります。
     また、この前方確認において、伐倒木の高さ、すなわち長さの目測を誤り、事故を起こす例があるので注意が必要。
(4)足元よし:以上の確認終了の後、「足元よし」でこれから作業に当たる作業者自身の足場をもう一度確認し、
     角上に出ている灌木等あれば処理し「退避方向よし」で退避経路・退避場所を再確認します。
(5)退避方向よし:経路・退避場所を再確認します。退避経路・退避場所は、2~3mの範囲内で移動しやすく
     安全な場所(立ち木の陰)を設定すべきです。伐倒木から遠く離れるに越したことはないが、移動距離が長いほど
     退避場所に着く前に木が倒れることがある。移動に余裕がないため、急ぐあまり転倒、滑落等を起こしやすくなる。
     これら諸確認は、指をその方向に差し示しながら行うことで作業者が自分自身に確実に認知させる重要な意味を持つ。
     決して儀式的な意味ではない。
10.指差し安全確認と伐倒作業開始の合図
(1)伐倒開始の予告合図:(笛1回・大声で周囲に確認させる)
     👉その後受け口切り
(2)受け口の作成開始・受け口方向の確認👉伐倒方向よし
(3)退避確認本合図:(笛2回・大声で周囲に確認させる)
     👉その後追い口切り・クサビ打ち(オイヅル切りの時は後方のツルを切り離す前に退避確認本合図を行う)
(4)周囲の安全確認・退避確認をした後、👉木を倒す。
(5)周囲の安全確認終了合図:(笛1回・大声で周囲に確認させる)
11.伐倒方法・手順(追い口切り・追いヅル切りの2種類がある)
(1)根張り切り
 (イ)小径木の伐倒では、根張りがあっても特に除去する必要はない。径が大きく伐倒しにくい
    (チェーンソー操作がしにくい)物はあらかじめ取っておく必要がある。
 (ロ)偏心・腐れ・空洞・片枝など特異な物がある木は、根張りを切ってはいけないものもある。
  (ハ) 追い口側(伐倒方向の反対側)の根張りは切らない。
 (二)正面にある根張りは、ほぼ除去されるので別にして、受け口正面からずれているものは一工夫が必要。
 (ホ)重心の左右を安定させるには、受け口の幅ができるだけ広い方が良い。そのために、
      受け口方向に斜めの根張りがある、これを切断しておけば受け口を作りやすく、受け口の幅も広くできる。
(2)受け口の作成
 (イ)受け口を作る目的:伐倒方向を確実にするためと伐倒の際、材の(割れ)を防ぐため。
 (ロ)また、できるだけ有効利用するために、伐採点(追い口などを入れ位置)をできるだけ低い位置に作る。
 (ハ)受け口の深さは、標準として直径の1/4(25%)程度を目安。
(3)斧目(隅切り)
 (イ)目的:元口の引き裂けを防止して、材の有効利用のために行う。
 (ロ)斧目の位置:受け口の下切りの高さから1cm下のころから立ち木に対して30°~45°程度の角度で、
      受け口前方か後方からツルの両端に斧目を入れる。
 (ハ)深さと幅:チェーンソーの幅半分から最大2/3程度の深さでツルを中心に、ツルの幅の2~2.5倍程度の幅で入れる。
12.伐倒
(基本1)追い口切り
  (イ)追い口の高さ:通常受け口下切りから2/3程度。伐根直径の15%~20%の高さ。
  (ロ)ツルの厚さ(強度)の目安:伐根直径の1/10程度を一応の目安。
  (ハ)ツルの形状による伐倒方向の違い:ツルを厚く作った方へずれて倒れる。
(基本2)追いヅル切り
  (イ)受け口をつくり、斧目を入れる。
  (ロ)突っ込み切りを行い、通常のツルをつくる。
  (ハ)追いヅルをつくる。
  (二)鋸道にクサビを軽く打ち込んでおく。
  (ホ)最後に追いヅルを切り離す。
13.追いヅル切りの訓練:安全確実な伐倒技術
 (1)伐倒の各作業要素、すなわち根張り切り、受け口つくり、隅切り、突っ込み切り、追い口切り、
      各種チェーンソーワーク等、すべてがこの技術の中に入っている。
 (2)この技術を訓練しておけば、自ずと伐倒のすべてが身に付く。
14.伐根の点検:伐倒のすべての履歴がそこにある。
 (1)伐倒の状況と伐根の観察:伐倒が終わったとき、倒れるときの状況と伐根を観察して、伐倒方法をチェックし、
      自らの伐倒技術の向上と安全の確保に役立てる。
 (2)受け口・追い口・芯切り・追いヅル・斧目の観察
  (イ)伐倒方向は、予定通りか(木の曲がり・重心方向・ツルの残し方により変わる)。受け口の方向を確認する。
       下切りは水平か、下切りと斜め切りの会合線の一致は良いか。
  (ロ)追い口の位置・切り込み方・は良いか。(水平か、ツルは予定通り残っているか)
  (ハ)芯切りは適切か。:伐倒の諸条件により行ってよい時と悪い時がある。
(3)ツルの状態の確認:ツルの働きは、作業者の命を守る大切なものです。
  (イ)大きさは良いか。
  (ロ)裂け・引き抜け等していないか。
    ・ツルが曲げられ、全体的に引きちぎった跡が残されていれば、目的通りに利いていた。
      片側に集中しているのであれば、その反対側は切り込み過ぎか、ツルの欠けが発生している。
    ・切り株にちぎった部分が一切確認されず、受け口会合線の位置でかけたようになっていれば、
      ツルの機能を全く果たしていない。切り込み過ぎ。
    ・ツルは確実に引きちぎられ機能しているが、ツルの形は中心部で厚く残っている。これは、
      中心部の切り残しで芯抜けをおこしやすくなる。
15.枝払い:伐倒した木の枝払いの注意点。
 (1)枝払いする材とその周辺を点検し、材の安定を確認のうえ、足場を確保し行う。
 (2)転倒・転落の恐れがある材の上での枝払い作業は行わない。
 (3)枝払いは、原則として山側に立って行い、元口から先端へ向かって行う。
 (4)枝は材面に沿って、切り口が平滑になるように切ること。
 (5)長い枝は一度に切り落とさず、幹から30cm以上のところで一度切り、根元を切ることにより、
      枝の裂けや跳ね返りを防ぐ。
 (6)伐倒した時、地面との間で押さえられて弓状になっている枝は切り込みを入れて反発力を弱めてから根元を切る。
 (7)枝払い作業は、キックバックの危険があるガイドバーの先端で枝を切らないようにする。
 (8)枝を切っている最中に、ガイドバーの先端が木や他の枝に接触しないようにする(キックバックの恐れがある)。
 (9)同時に二人以上で、同一の材の枝払いをしない。
16.造材・玉切り:造材とは、伐採した木を使用目的に応じて長さを決め、切り離すこと。
     切り離された木材は「玉」と呼ばれる。根元から1番玉・2番玉、特に根付き一番玉は、根玉と呼ばれる。
 (1)片持ち材切り離し方
   ①下方からガイドバーを挟まれない程度に切り上げ②自分の方にチェーンソーを引きバー先端部を使用して
   上側まで切り上げ③この鋸道を利用して上から一気に切り下げる。
(2)両持ち材のり離し方
  上述の③上側を切る→②自分の方にチェーンソーを引きバーの先端部を使用して下側まで切り下げ→①この鋸道を
  利用して下から一気に切り上げる。
  以上、2日間の受講内容を思い出し参考図書を読み返しながら箇条書きに記した。
17.おわりに
  今回の受講を基に、さらにチェーンソーワークの技術と知識を向上させ、山作業を安全に確実に進めることを目指します。
  ご指導いただいた講師陣に感謝するとともに「森林づくり伊豆の会」の援助に感謝します。

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